しいたけの原木栽培

役に立つことと役に立たないことを書きます。

後輩育成でやってよかったこと、悪かったこと

このエントリーは下記の続きです。 sh-tkn.hatenablog.com

はじめに

OJT担当として後輩育成をしたこの4ヶ月を振り返って、やって成功だったなということと、これは失敗だったなと感じたことを紹介していきます。

基本方針

まず、基本方針として、自発性と主体性を持って仕事をする人に育ってくれることを目指しました。上から細かく指示されなくても、自分の頭で考えて動いてくれる。上が間違っていることに気づいたとき、遠慮なく意見を言える。成長のために自発的に勉強をする。そんな人に。
はじめから明確にこの方針を立てていたわけではなく、OJT開始から少し経過したころ読んだ本に大きく刺激を受けて方針を固めました。この本です。

それまで私の頭の中になんとなくあった方針とも合致したため、この本の方針を全面的に採用することにしました。以下に述べることには、この本に書かれていることも多いです。興味のある方はご一読ください。

さて、結論から言うと、この方針で目標としていたことはそこそこ達成できたと思います。前回ご紹介した「後輩に助けられた話」は、まさに自分で考えて動いてくれた結果です。また、配属直後と比べるとだいぶ私に遠慮なくものを言うようになりました。端から見るとなめられているように映ることもあるかも知れません。でもこのくらいでちょうどいいんです。私が間違えることはよくあるし、後輩の視点だからこそ見えるものもあります。それを口にしてもらうには「遠慮なくものを言える関係」が何よりも大事です。
では、私がどんなことをしてきたか、個別にご紹介しましょう。

よかったこと

1. 興味を持って話を聞いてあげる

宴会の席などで、上司や先輩社員から長々とありがた~い(笑)アドバイスをもらった経験がある人は多いでしょう。これは絶対にやってはいけません。こんなことをされても、右から左だったでしょう?笑
アドバイスをもらうにしても、信頼している人からされるのとそうでないのとでは全然違います。まずは信頼関係を築きましょう。臨床心理学の用語で「ラポールを形成する」と言うそうです。
知り合って間もない状態からラポールを形成するには、話をするよりも話を聞いてあげましょう。趣味や好きなコンテンツなどを聞いてみてください。ぜんぜん知らない言葉が出てきても、その魅力を尋ねたり、好きになったきっかけを聞くなどして話を掘り下げていくことはできます。
私は後輩の好きなバンドを教えてもらい、それをSpotifyで聞いて「この曲が良かった!」と伝えるなどしていました。こうした会話が配属から間もない段階で距離を縮めるのにかなり役立ったのを実感しています。

2. 過去の失敗を聞いておく

どんな人にも苦手なことがあります。苦手なことを把握しておけば、予めそれに配慮した指導ができます。過去の失敗を聞いておくことは、苦手なことを把握するのに役立ちます。
後輩は「研究室時代、分からないことがあったときに一人で解決しようと時間を浪費しすぎ、あとで『なぜ相談しなかったの』とものすごく怒られた」という話をしてくれました。これを踏まえ、配属直後は私のほうから積極的に「なにか困っていることはある?」と話しかけるようにしました。やがて後輩は「気軽に相談してもいいんだ」と安心したようで、詰まったときは向こうから相談に来てくれるようになりました。振り返りの場で「質問するスキルが一番成長した」と喜んでいたのをよく覚えています。

3. 間違えたときもその間違いに至った意図への理解を示す

新人に仕事を任せるとき、1から10まで細かく指示はできないので、ざっくりと指示を与えてあとは自分で考えてやってもらうことになります。しかし、その結果こちらの意図とずれた成果物を持ってくることはよくあります。業務に関する知識が足りていないし、作業の目的もよくは理解していないので、これは当然のことです。
そんなとき、絶対に間違いを責めてはいけません。「自分で考えてやってみよう」という意思を摘むことになり、何から何まで指示されないと動けない人になってしまいます。
自分で考えたこと自体は否定せずに、軌道修正するよう促しましょう。まずは、どういう意図で作業をしてその間違いに至ったのかを正確に把握します。考えてみて分からない場合は、優しく聞いてみてください。そうして分かった意図に理解を示しつつ、こちらの意図を伝え、こういうふうに直してほしい、とお願いしましょう。
私は、なにか指摘をするときは毎回「うんうん、確かに、こういう視点で考えて作業をすればこういう結果になるよね。でも、私としてはこっちの視点で考えて欲しかった。だから、こういうふうにやり直してくれる?」という伝え方をするようにしていました。まずは相手の考えに理解を示してから、反論を伝える。相手の心を傷付けずに自分の意見もちゃんと伝えられる、鉄板フォーマットだと思います。

悪かったこと

1. 付きっきりで教えすぎる

後輩の配属直後は、1から10まで手取り足取り教えるという方法を取ることがありました。しかし、これはあまり良い方法ではありませんでした。理由は3つあります。
1つめは、自分で考える意思を損なってしまうこと。何から何まで教えてくれる人がそばにいると、人は「どうせこの人が教えてくれるから」と自分で考えることをやめてしまいます。
2つめは、教える側に負担がかかりすぎること。教えることに時間を使いすぎると、当然他の業務にしわ寄せが行きます。そのせいで残業が発生することがあって、しんどく感じることもあったし、後輩には「申し訳ない」と思わせてしまっていたようです。
3つめは、心理的距離が近くなりすぎること。会話をする時間が長くなると、仕事上のパートナーという枠を超えて距離が近くなりすぎ、無意識のうちに相手に対する期待が肥大して軋轢が生じるようになります。実はこれが原因で微妙に気まずい時期がありました。しかし、少し距離を置くことで良好な関係に戻ることができました。
仕事は付きっきりで教えないようにしましょう。まずはざっくりとした指示を与え自分で考えてやってもらい、ときどき様子を見て軌道修正を促すようにしましょう。

2. 単純に褒めすぎる

人には、他人から言われた言葉をそのまま受容するタイプと、「この人はどういう意図でこんなことを言ったのだろうか?」とあれこれ裏を読んでしまうタイプの2種類がいます。
前者なら単純な褒め方でもいいのですが、後者の場合は褒め方に気をつける必要があります。
私は褒めて育てることをモットーとし、お世辞は決して言いませんでしたが、小さなことでも見つけるたび褒めるようにしていました。しかし、後輩は後者のタイプで、素直に受け取ってはくれず、私の意図を訝しんでいたようです。
後者の場合どうやって褒めればいいのか、明確な答えは与り知らないですが、私の場合「ありがとう」を軸に褒めるようにするとうまくいきました。
「丁寧に仕事をしてくれてありがとう」「こんなことにまで気づいてくれてありがとう」こんな感じであれば後者のタイプでも受容しやすいです。相手のタイプを見極め、褒め方をいろいろ試行錯誤してみてください。

さいごに

いかがでしたでしょうか。参考になる情報はありましたか?
後輩や部下がいる方、またはこれからできる方のお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。